衣類を白くするには、「漂白」によるものと、「蛍光増白」による方法があります。漂白は、化学的な方法で色素を破壊する方法をいいます。つまり黄ばんだ衣服を白くしたり、またシミを取り除くことを「漂白」と言います。 漂白についてはこちら
蛍光増白は、目に入ってくる反射光を補い目に白く映るようにするものです。簡単に言うと蛍光増白剤(蛍光剤)は、目をごまかして白く見せるようにする一種の染料。このことを増白といいます。 |
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純白は、可視スペクトル全領域において全反射(図A)するものですが、黄ばんだ衣類は黄色の補色、つまり青系統の反射光が不足しているので人の目には、黄色がかって見えます。(図B)
この時に青色の染料で染めると、黄色の部分の光を吸収させることにより、黄色が消えて見え、人の目に白く映るようになります。(図D)これを青味つけといって昔はこの方法が使われていました。しかし、青味つけの方法では全体的に白さや明るさに欠けて暗く感じる欠点がありました。
そして蛍光増白剤は紫外線を吸収して青紫〜青緑色の反射光を発する染料なので、不足していた反射光を補って反射光が全体に広がるようになります。(図C)
蛍光増白剤を使用すると、目に白さと輝きが増して見えるようになります。
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蛍光増白剤は、極少量で白さと輝きを得られ、繊維のダメージを損なう恐れがないメリットは大きいですが、下記のような取り扱いの注意点があります。
また衣類を白く見せると言う視点では「漂白」と同じだけど、全く違うものなので、その違いを理解しておく事は大切。 |
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■ 蛍光剤は、洗浄で脱落します
蛍光剤は、洗濯時だけではなく衣類の製造時にも使用され出荷されているものも多くあります。
クリーニング時でのトラブルに製造時に付着している蛍光剤が洗浄で脱落し、元の色と違うという苦情ががよくあり、蛍光増白剤の洗浄で脱落するという認識が必要だと思われます。
■ 蛍光剤の使用量
蛍光剤は使用量を増やせば増やすほど白く見えるわけでは、ありません。極少量(0,1〜0,5%)の使用量で効果は十分にあります。それ以上の使用量になると白さが落ちてきます。この現象を濃度消光tいいます。
■ 日光の問題
蛍光剤は、直射日光の影響では白度が低下するので、干す場合は直射日光を避ける方が無難です。
■ 紫外線の影響
蛍光剤の原理は、紫外線を吸収なので紫外線のない場所では、効果が発揮できません。
■ 塩素系漂白剤の問題
蛍光剤は、塩素系漂白剤を使用すると、増白の効果は期待できません。
ただ実際には漂白で白くした場合には増白などする必要性は考えられないが、この増白剤は塩素に弱いと言う事は注意すべき点です。
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■ 生成りやパステルカラーの衣類には使用できません。
黄色系、ピンク系、水色等の衣類は、全体的に白っぽく色あせて見える場合があります。このような衣類には、無蛍光の洗剤を使用して下さい。また蛍光増白剤で洗ってる衣類と一緒に洗った場合、それが原因で変色してしまう可能性もあるので、生成りなどの衣類は常に別けて洗うのが良い。 |
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蛍光増白剤は、発ガン性があり大変危険と警告している団体がありますが多くの洗剤メーカーでは蛍光剤入りの洗剤を販売しています。また、日本では、医療用のガーゼ、紙ナプキン、紙コップなどには蛍光剤の使用が制限されています。
しかし、日本の蛍光増白剤を扱う学会では、問題は無いと正式にコメントをしていますし、安全性にうるさいアメリカでは、傷口に直接触れるガーゼにも、蛍光剤の使用制限はされていません。
人体への影響は、現時点では、解らないのが現状です。
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