この世に存在している物質には、気相(気体の相)、液相(液体の相)固相(固体の相)という3つの相があります。
これらの2つの相が接しているときその境界面を界面といい、この一方が気相の場合は、表面といいます。
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表面張力は、水と空気が接しているときに水と空気の界面に働く力で、水と油(汚れ)の界面で働く力のことを界面張力といいます。自然界の全ての現象は、自由エネルギーが低くなるような方向に進んでいきます。自由エネルギーが一番低くなったところで一番安定な状態になります。
*水が高いところから低い方へ流れるのも自由エネルギーが安定するからです。
■ 汚れが生地についている状態
この場合は、水と油(汚れ)の界面張力と水と生地の間の界面表力と足したものより油と布の界面張力の方が低く安定しているので油は生地にしっかりとついています。 |
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■ 界面活性剤入れると・・・・
洗剤溶液と油の間の界面張力と洗剤溶液と生地の間の界面張力は小さくなりますが、油と生地の間の界面張力は、変わりません。
洗剤溶液と油の間の界面張力と生地と洗剤溶液の間の界面張力とを足したほうが油と生地の界面張力より小さくなります。 |
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油は、生地について界面をつくるより、生地から離れて洗剤溶液と界面をつくる方が自由エネルギーが低く安定します。
こうなると自然に油は生地から離れていきます。
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■ 分散作用
離れた油は、洗濯の機械作用によって、小さくなり分散します。
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■ 保護作用
ミセルが形成されると(界面活性剤で包まれる)油(汚れ)は、衣類への再付着(再汚染・逆汚染)することもありません。この状態で透明なら可溶化といい、濁っていれば乳化といいます。
■ ローリングアップ(巻き上げ現象)
油汚れが離れる場合は、広がった状態からしだいに丸まった状態になって離れていきます。
このような状態をローリングアップと呼んでいます。
■ けん化現象
石鹸は、天然油脂とアルカリで分解してつくられます。
油汚れは、脂肪酸が含まれていて、これが洗液中のアルカリと反応して石鹸になります。
この現象をけん化(石鹸に化ける)といいます。石鹸になれば、水に溶けて繊維から離れ周りの汚れも一緒に石鹸の力で離れやすくなります。
■ 液晶の形成
界面活性剤と水の分子が油の中に浸透するときに液晶の膜がつくられます。水の分子は小さいので内部に入っていきます。
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水の分子が液晶の膜に入ると、膜の内部の圧力が上がり、膜の弱い部分から突起ができてきます。 |
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すると、洗液中で破裂します。
これを繰り返されて油汚れはしだいにとれていくようになります。
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参考文献 洗剤と洗浄の科学 中西 茂子 著 コロナ出版
石鹸・洗剤100の知識 大巻健男 東京書籍
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