【状況】
3,4回着用してからクリーニングに出し、仕上がりを見るとエリ部分にシミ状の変色に気がつきました。
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【調査内容】
ブラウンの地色が暗黄褐色に変色しており、シミ部分の境界線部分は赤紫色の輪どりが確認できました。
@ 着眼点
・変色が経糸(綿100%)のみで、緯糸(絹100%)には見られない。
・エリの両側にシミ状に変色している。
・エリの裏側の浸透度合いなどから液体が付着したことによる変色と推定されます。
A 再現試験
パーマ液などの薬品による変色と推定し、下記の再現試験を実施しました。
パーマ液の主成分は、第一液が還元剤。第二液が酸化剤なので、第一液をチオグリコール酸アンモニウム6.0〜7.7%水溶液をpH9.0±0.2になるようにアンモニア水を加え調整。
第二液を臭素酸ナトリウム5.0〜10.0%水溶液を用意しました。
第一液の上に第二液を滴下すると事故品と同じ変色が再現できました。
パーマ液の種類により、若干の差はありますが、実験結果からパーマ液の付着による変色と推定されます。
パーマ液が付着した場合は、洗剤やクリーニング店などでシミ抜きをすることが大切ですが、パーマ液が付着していることに気付くことは難しく、ドライクリーニングなどの乾燥時の熱酸化により変退色が起こって、しまうことはよくあります。
確認試験は、フルオレセイン試験紙による蛍光発色の有無により確認できます。
参考
社会法人日本衣料管理協会 繊維製品の苦情処理技術ガイド